森長継寄進銅燈籠(もりながつぐきしんどうとうろう)

重要文化財

東京都台東区上野公園9番 上野東照宮境内


 美作津山城主森長継が上野寛永寺の東照宮に寄進した銅燈籠。1対。
 上野東照宮は藤堂高虎が上野山内にあった自邸、徳川家康を祀ったのが濫觴と言われている。
 現存する社殿は慶安4年(1651)に三代将軍徳川家光が造営したもので、拝殿・石の間・本殿からる権現造である。
 この唐門前と参道に50基の銅燈籠が並んでいる。唐門前には御三家、参道には国主クラスの大名という配置である。以下は参道から鳥居に至るまでの一般大名の石燈籠が並んでいる。
 燈籠は神事・法会を執行するときの浄火を目的とするもので、この上野東照宮奉献の銅燈籠は宝珠・笠・火袋・中台・竿・基壇・石基壇で構成されており、寄進大名によって形・デザインが異なる。
 このうち古い銅燈籠は寛永5年(1628)藤堂高虎寄進の1基で、慶安4年(1651)正月17日奉献2基・同4月17日奉献45基・同5年孟夏(4月)17日奉献2基となっている。慶安4年4月17日は東照宮社殿落慶の日でこの日の奉献が最も多く、長継寄進の銅燈籠もこのうちに属する。
 長継寄進燈籠は唐門を正面に見て左側の奥にある。銘文は以下の通り。

燈籠 銘文(竿上) 銘文(竿下) 銘文(裏)
写真右    奉献銅燈籠両基
  武州
  東叡山
東照宮      寳前   

  慶安四年四月十七日
美作國主従四位下侍従源姓森氏長継 冶工
  椎名源左衛門尉吉林
写真左    奉献銅燈籠両基
  武州
  東叡山
東照宮      寳前   

  慶安四年四月十七日
美作國主従四位下侍従源姓森氏長継 冶工
  椎名源左衛門尉吉林

 いずれも同銘文である。寄進は両基、つまり1対ともに残っているのは貴重である。
 銅籠は東照宮社殿とともに昭和40年(1965)、国の重要文化財に指定された。

[拝観]可

【参考文献】高藤晴俊『家康公と全国の東照宮』(東京美術)

(004/2006/2/18)